黒の教団 食堂での一時

□決意するきみ
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今日もまた、人数が減った気がする。
ざわざわとはしているが、明らかに人数の少ない食堂を見渡す。
食事をしているのは、元々本部に勤務している人たちか、傷つき戦線から戻ってきた人たち。
以前は聞こえていた笑い声は、ほとんど聞こえてこない……


「こーら!そんなシケた顔しないの!」
『痛っ』


ペシッと頭を叩かれ、怒られてしまった。
もちろん私の事を怒ったのはジェリー料理長だ。


「あんたの気持ちはよーく分かるけど、こんな時だからこそあんたは笑顔でいなさい!」
『…………ふふ』
「アラ、何か可笑しかったかしら?」
『いえ……以前にもミランダにそう言われたなぁって思い出してしまって……』
「アラ!ミランダはちゃんと分かってるのね〜」


そう言いながら今度は頭を優しく撫でてくれる。本当にこの人は優しいんだから。


「あら?噂をすれば、そのミランダが来たわよ」


後ろを振り返ると、ジェリー料理長が言った通りミランダが立っていた。
でも様子がおかしい。注文をするでもなく、何かを言おうとしているが、躊躇っているような素振りだ。


『ミランダ、どうしたの?』
「あ、あああの……ええと…あ、挨拶に、来たの」


ドクン……
その言い方に胸が鳴る。しっかり着込んだ団服、少し大きめのバッグ……
まさか……


『ミランダ………まさか、もう……?』
「え、えぇ……クロス元帥がなかなか見つからなくて大変らしいの、それで応援に……」


もう……?だってミランダがここに来てから、まだ何ヵ月かしか経っていないじゃない。サポートのイノセンスだから戦闘訓練よりシンクロ率の向上を中心に修行してたって……
それなのに、もう?そんなに切羽詰まった状況なの?


「そ、それでひとみちゃんには行く事を報告しておきたくて……」
『ミランダ……』


どうしよう……言葉が出てこない。本当は行ってらっしゃい、とか、頑張ってねって言わなくちゃいけないのに……


「ひ、ひとみちゃん?」
「どうしたの、ひとみ?」
『……………………………私も』


その後出た言葉に、私自身驚いてしまった。



『私も付いて行くわ………!』
「「……えぇ!?」」






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