黒の教団 食堂での一時

□涙に濡れるきみ
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嘘、嘘よ………!






《戻ってきてるみたいよ……》






嘘だと言って…!!






《こっちはいいから行ってきなさい》






誰か……お願い、嘘だと言って………!!






《礼拝堂に………》
















『はぁ……はぁ……』

全速力で走って来た為、息が切れている。肩で息をしながら、そっと礼拝堂へと入っていくと……そこは凄まじい光景だった。

ズラリと並ぶ棺たち。ざっと見ただけでも100を越えている。怪我をして包帯をしている人達が、棺の傍らで涙を流していた。
その中には白い棺と黒い棺で分けられている。その意味を知っているひとみはぐらりとよろめいてしまった。

白い棺はファインダーの物、黒い棺はエクソシストの物……
そして黒い棺は6つ、静かに鎮座している。


『ろ、6人も………?』
「……ひとみちゃん?」


自分の名を呼ばれ、ゆっくりと顔を上げる。
そこには、私の事を心配そうに見つめるコムイ室長の姿があった。


『室、長………』
「……きみも来てくれたんだね、ありがとう」
『………やっぱり、嘘じゃ、ないんですね……』
「うん……みんな精一杯戦って帰ってきたよ」
『う、うう……っ』


思わずコムイ室長にしがみつき、嗚咽を漏らす。こんな、こんな事ってないよ……!この前までみんな元気そうな顔をしてたじゃない。みんな、みんな……!!


「ひとみちゃんは顔が広いからね。亡くなったエクソシストの事もみんな知ってるんだよね……」
『……っ、は、はい……』
「特に親しかったのはこの中だと……デイシャかな」
『……っ!嘘……デイシャも……?』


しがみついていた手の力が抜けていく……
へたっとその場に座り込んでしまい、そこから動けなくなってしまう。


「ひとみちゃん………」
『だって、デイシャだって結構強いってリナリーが……神田やマリさんも一緒だから大丈夫だと……』


そこでハッとする。
そうだ、デイシャは神田と同じティエドール元帥の捜索に出ていたんだ。そのデイシャがやられてしまったという事は……!


『コムイ室長!神田は……?同じティエドール元帥の部隊だったのなら、神田は………!?』


すると、コムイ室長は座り込んでしまった私と同じようにしゃがみ、視線を合わせる。そして、ふっと穏やかな表情を見せた。


「大丈夫。神田くんは無事だよ」


その言葉を聞いて私は周りの視線を気にする事なく、うわあぁぁんと大声を出して泣いてしまった。





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