黒の教団 食堂での一時

□置いてきぼりのきみ
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コツコツ、コツコツ………

歩く度に石畳の廊下が音を鳴らす。蝋燭で照らされるそこは、少し薄暗い。
ひとみは大きめのバスケットを持ちながら、目的の部屋へと向かう。そこはさながら戦場と言える場所だ。


コンコン
目的の部屋へと到着し、扉をノックする。そして中からは「はー…い」という元気のない声。
その様子に思わず苦笑しながら、ひとみはガチャっと扉を開けた。


『お疲れ様です、ひとみです』


そう声をかければ、まだ元気のある人はこちらを向いて、「おー」と返事をしてくれる。
でも、元気のない人や、取り憑かれたように仕事に没頭する人たちが多いので、返事をしてくれたのは数人といったところだ。


『皆さん、ちょっとだけ休憩しましょう?お菓子とジュースとコーヒー、あと飲みやすい野菜ドリンクも作ってきましたよ!』


少し大きめの声を出すと、元気なく机に突っ伏していた人たちがムクッと起き上がる。そしていい匂いに誘われるようにフラフラとこちらへ歩いてくる。その様子はまるでゾンビのようだ。


「いっただきまーす!」
「俺はコーヒーが飲みたい!」
「あぁ…シュークリームがあるっ!」


目もくれずにお菓子やら飲み物に殺到する大人たち。それだけ仕事漬けで参っていた事がよく分かった。


「いやー、すまないな」
『あ、リーバーさん!コーラもありますよ』
「お、気が利くな!」


大好きな炭酸を飲み始めると、リーバーの顔も少しだけ笑顔になってくる。さっきまでおでこに冷えピタを貼りながら、ものすごい勢いで何かの計算をしていたとはとても思えない。

少しだけ和やかな雰囲気になってきたが、まだここにいない人がいる事に気づく。
体力不足でいつもフラフラになっているジョニーだった。


『ジョニーはいないんですか?』
「いや?確かさっき調べ物で奥の本棚の方に行ったはずだ」
『分かりました!じゃあお菓子と飲み物を持って行きますね!』
「悪いな、頼むよ」


ジョニーが好きそうなクッキーと彼に必要そうな野菜ドリンクを持って、ひとみは奥の本棚の方へと向かって行った。




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