黒の教団 食堂での一時
□優しいきみ
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『いらっしゃーい!何にしますか?』
そこはいつもと変わらない食堂。
いつも通りの声かけ。
でも食事に来る人は、格段に減ってしまった気がする………
それはエクソシストとファインダーの多くが、元帥護衛の任に出向いてしまったからだ。
もちろん大切な任務なのは分かっているけれど、こうやって人が少なくなってしまうのは寂しいもので……
特に仲良くしている人達がみんな出払ってしまうなんて、滅多にない事なのだ。
彼らは元気にやっているのかな……
「よっ、ひとみ!」
『うわぁっ!』
「うぉっ、な、何だよ!こっちがビックリしたぞ」
『あ、リーバー班長。す、すみませんでした』
ひとみは物思いに耽っていた為、突然声をかけられてかなりドキッとしてしまったようだ。
大きな声を上げてごめんなさい、と心の中で謝罪する。
「どうしたんだよ、お前がぼーっとしてるなんて珍しいな」
『あー…… いや、何て言うか。みんな元気かなって思って……』
「あーそっか、そりゃ心配になるよな。今のところはみんな元気みたいだぞ」
リーバー班長は化学班の責任者。そしてエクソシストの司令塔であるコムイ室長の右腕のような人。その人が、みんなは元気だと言うのならそうなのだろう。
それが聞けただけでも、ひとみの心は少しだけ軽くなったようだ。
でも、本当に聞きたい事は別にある。
コムイ室長が現地へ赴かなければならないくらいの重症を負ってしまった二人。リナリーとアレンの実際の状況だった。
ラビに手紙を託したが、それがどうなったかが分からない。いちいちそんな事をゴーレムで教えてくれる事もないだろうし……
「ひゃあぁぁぁぁ〜っ!」
『…………………ん?』
考え込んでいると、突然聞こえたのは女の人の叫び声?なんだなんだとそちらへと視線を向けると、一人で騒いでいる人を見つけたのだった。
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