黒の教団 食堂での一時
□嫉妬されるきみ 後編
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神田にまさかの告白をされてから、2日後……
その間も嫌がらせは続いていた。
今日は私の顔写真に釘を何本も刺したモノ……
まったく、色んな嫌がらせを考えるものだ。
そんな事を考えながら仕事をしていると、注文口にコムイ室長が顔を見せた。
「ひとみちゃん、ちょっといいかい?」
『コムイ室長……』
2日前、ジェリー料理長がコムイ室長に相談すると告げた後、ロッカーのある一角には監視カメラが取り付けられた。
超小型のカメラなので、ここにあると言われない限りは絶対にバレないような代物。
取り付けた事も私とジェリー料理長とコムイ室長しか知らないのだ。他のスタッフには申し訳ないが、こうでもしないと犯人が誰か突き止めることは難しそうなのが現状だ。
そしてコムイ室長が来たという事は、犯人の映像が撮れていたのだろうか………?
コムイ室長に連れられ、室長室へと入っていく。科学班とも隔離された執政室なので、他には誰もいない。
するとコムイ室長は、本棚の中央に置かれたテレビの電源をつけ、こちらをチラリと見る。
「ひとみちゃん。まずは映像を確認してもらえるかい?」
『はい…………』
そこに何が映し出されるのか。
神田が言っていた医療班の女性が映っているのだろうか?それとも 食堂のスタッフが映っているのだろうか?
緊張からか、喉の奥がカラカラしてくる。
するとロッカーの映像がテレビに流れる。私のロッカーがピンポイントで録画されているようだ。
その映像の中には、私のロッカーを開ける人物がしっかりと映っていた。
その姿に愕然としてしまう。
『…………………っ』
私が言葉を発せずにいると、コムイ室長にとても優しく頭を撫でられ声をかけられた。
「………知っている人、かい?」
『…………はい……………』
残念な事に、そこに映っているのは食堂のスタッフ………調理補助のジェフという男性だった。特に親しい訳ではないが、挨拶をしたりちょっとした話くらいならする人なのだ。
でもそこで感じる違和感。
私はてっきり犯人は女性だろうと思っていた。メッセージの中には『ラビに近づくな』というものもあったくらいだ。
もちろんジェフがそういった趣味なのかもしれないが、今まで男が好きといったような話は聞いたことがなかった。
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