黒の教団 食堂での一時
□本当は優しいあなた
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「ううぅーーん……頭痛いぃ………」
「そりゃそうよ、兄さん!昨日あんなに飲んでたんだから!」
29歳の兄が16歳の妹に怒られている。
それはそうだ。二日酔いで仕事がまったく進んでいないのだから。
しかも普段なら一緒に注意してくれるリーバーまで、ダウン気味である。
いくらアレン君の歓迎会が楽しかったからと言って、仕事に支障をきたすのは大人としてどうかと思う。
どうすればいいかしら?と思い悩むリナリー。
科学班にある薬はとてもじゃないが、怖くて使用できない……
するとそこに救世主が現れた。
『失礼しまーす………あぁ、やっぱり!』
「ひとみ!」
昨日の歓迎会を一緒に計画してくれた、ひとみがやってきたのだ。
食堂に勤務している彼女がここに来るのは珍しい。大概は兄さんが用事があって来てもらうくらいだ。
「どうしたの?」
『いやぁ、昨日コムイ室長ってばけっこうな量を飲んでたからね。ちょっと様子を見に来たんだ』
この気づかいがひとみらしい。
歓迎会だって実行してくれたのは、ほとんどひとみだった。
終わった後まで気にしてくれるなんて、本当にすごい。
するとひとみは持っているバスケットをごそごそとし始めた。
「それ、なぁに?」
『二日酔いに効くハーブティーだよ!』
「ハーブティー?」
確かにひとみは料理人なので食材については詳しいと思う。
でもハーブって効能とか色々違うから、料理とはまた違う分野だと思っていた。
「すごいね、ひとみってハーブにも詳しいのね!」
『実はさ。前に料理の考案で、嫌ってほど薬草やら漢方やらを調べたからなんだよね!』
「(……そう言えば、前にラビが図書室でひとみに会ったって言ってたっけ…)」
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