黒の教団 食堂での一時
□輪に入らないあなた
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黒の教団壊滅未遂事件が起きてから2日後…
だいぶ修理も進み、食堂に勤務しているメンバーは、ようやく普段の仕事に戻れていた。
「まったく、コムたんは何やってんのかしらね!」
と、未だにジェリーはプリプリしている。
まぁまぁと周りがなだめ、料理を作ってもらう。
そこへ壊滅事件の時の被害者の一人がやってきた。
「こんにちは、ひとみ!」
『こんにちは、アレン』
お互い笑顔を交わす。
この前のコムリン2の事件のおかげか、アレンとも仲良くなれたのだ。
『今日は何食べる?ジェリー料理長もいるから、すぐに作れるわよ!』
「本当ですか?じゃぁパスタのミートソースとカルボナーラとナポリタンとペペロンチーノに麻婆豆腐とエビチリと回鍋肉と青椒肉絲と炒飯とナシゴレン。デザートに杏仁豆腐とティラミスとココナッツプリンとみたらし団子20本で!」
『……相変わらずね』
本当にこの子の胃袋はどうなっているんだろう?ブラックホールそのものだなとしみじみ思う。
厨房に今の注文を伝え、すぐに調理にかかる。
『じゃぁアレン。出来上がるまでちょっとだけ待っててね!』
「はーい!」
するとアレンの隣に、リナリーがやってきた。
「あ、リナリー!リナリーも食事ですか?」
「ううん、私はちょっとひとみに用があって来たのよ」
するとリナリーが私に向けてウィンクする。
その目の合図で、リナリーの用事が分かった。
前から準備を進めてた、アレンの歓迎会についてだ。
『分かったよ、リナリー。ジェリー料理長に話してくるから、ちょっとだけ待っててね』
そう言って厨房の中にいる、ジェリーにその事を話に行った。
「リナリーってひとみと仲がいいんですね」
「うん!心を許せて何でも話せるの。お姉さんみたいなものね!」
「へぇ、そうなんですか」
「ひとみって、飾らずにみんなと同じように接してくれるの。アレン君ならすぐに仲良くなれるわよ!」
「そうですね、もっと仲良くなりたいです」
そんな会話がされているところへ、ひとみがやってきた。
『リナリー、お待たせ!談話室にでも行こうか』
「えぇ」
『じゃね、アレン!料理はもうそろそろ出来そうだからね!』
「ありがとうございます、ひとみ」
手を振ってアレンと別れる。
そのまま談話室へと向かう。今の時間ならあまり人もいないし、内緒にしたい相談ならうってつけの場所なのだ。
「準備の方はどう?」
『とりあえずは順調かな。飾り関係は全部出来上がってるし、食材と飲み物も届いているから、後は料理を作るだけよ!』
「ひとみ達に任せっきりにしちゃってごめんね。とりあえずアレン君はすぐの任務はないみたい。今日の夜とかは出来そう?」
『うん、大丈夫だよ!それなら今から仕込みをすれば十分間に合うしね』
アレンの歓迎会について、着実に話が進んでいく。なるべく早めにやりたいから、今日の夜ということになった。
「それじゃぁ、教団内に知らせてくるね!くれぐれもアレン君には悟られないようにね」
『分かってるって!』
そう言って、それぞれがまた動こうとした時、ふとひとみの頭を過った男の人がいる。
彼らは出れるのだろうか?
『あ、ねぇリナリー。ラビと神田はやっぱり無理そうかな?』
よく自分と話をしてくれるエクソシスト。
やっぱり出席できるなら、出てほしいなと思う。
「ラビは無理ね。まだ任務が終わらないらしいし。神田は任務終了の報告は来てるから、汽車とかが遅れなければ出れるんじゃないかな?」
リナリーが状況を教えてくれる。
ラビは無理そうでも、神田は間に合うかもしれない。
ただ恐らく神田は参加しないだろう。神田の分の蕎麦を作れるように準備をしておくことにした。
『ありがとう、リナリー。じゃあこっちも準備を始めておくね!』
「えぇ、よろしくね!」
ひとみは食堂に、リナリーは今日の夜に開催することを知らせに科学班へ行った。
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