Fallen Angel ―堕天使―

□第11話
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「寝れないなぁ……」


もう何度目か分からない寝返りを打つ。
今日の朝には作戦が始まるから、もう寝なきゃいけないのに……いくら経っても眠れない。

ムクッと上半身だけ起こして、チラッと時計を見つめると、すでに夜中の3時を回っていた。普段ならそこまで眠くなくても、ベッドに入れば自然と眠りに就けるのに。


原因は……分かってる。

店を閉めて部屋に戻ったら、クラウドがどこにもいなかったからだ。
決起会からクラウドを追い出す形になっちゃったから、寝る前にちょっと顔を見ておこうかなって思っただけだったんだけど……
でも気になり出したら、止まらなかった。





水でも飲もうと洗面台へと向かうと、扉を開け閉めしている音が聞こえてきた。
部屋の中を歩く気配も感じられる。

ひょっとして、帰ってきた……?
そう思ったら居ても経ってもいられなかった。部屋着から普段着へと急いで着替えて、クラウドの部屋の前に立つ。

控えめにコンコンとノックをして「いる?」と声をかければ、「あぁ」と短く返事が返ってきた。


「ずっと、いなかったね」

そう問いかけつつ部屋の中へお邪魔すると、クラウドはベッドから起き上がり腰をかける。

「……散歩だ」

まるで取って付けたような言い訳。こんな夜中に散歩なんて……
部屋の中の壁に寄りかかりながら、口を開く。

「そうだ、ジョニーに会ったよ。ミッドガルを出るって」
「……あぁ、あいつか」
「クラウドはしばらくミッドガル……だよね?」

何となく、今クラウドに出ていって欲しくなかった。それは私のエゴ。側にいて、話を聞いて欲しかった。





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