Fallen Angel ―堕天使―

□第9話
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「こっちよ」

七六分室にある倉庫の扉をなるべく音が出ないようにそっと開ける。後ろを警戒していたシェリーがこちらへと駆け寄り、一緒に中の様子を伺った。


『……………いない』
「うん、大丈夫そうね」


中に誰もいない事を確認して、静かに倉庫へと入る。持ってきていたペンライトを点けて中をくるりと照らす。


「さ、クラウド達が暴れてる間に探そう!探して欲しいのはNo.RX-473か475の火薬ユニットね」
『分かった!』


棚にライトを当てて目的の物を探す。さすが神羅の兵器開発部門の倉庫だけあって、色んな種類の火薬が置いてある。手分けして探していると、外からは銃声が聞こえてきた。


「クラウド達も頑張ってくれてるな〜!」

自分は何に対しても無関心って顔してたけど、意外と付き合いのいい彼。本当は現金がいいハズなのにこの依頼もマテリアで引き受けてくれた。ため息はついていたけど、やると決めたら最後までしっかりやってくれるだろうし、今の私達にとってはとても頼りになる存在だった。



そんな事を考えながら、懸命に探すが目的の物はなかなか見つからない。ちょっと広すぎでしょ、この倉庫!

少しずつ焦り始めた時、外の様子が少し変わった気がする。銃撃だけでなく爆撃のような轟音。もしかしたら神羅特性のマシンが出てきてしまったのかもしれない。


「ヤバ…!早く見つけなきゃ」

再び棚に向かって目的の火薬を探す。とりあえず私が見ていた棚には無かった。別の棚へと移った時にシェリーの声が上がる。


『あった!』
「本当!?」


シェリーの元へと走っていくと、しゃがみこんで棚の下の方をガサガサとしている姿が見えた。

『たぶん、これ』

手で埃を払いながら、私の前にユニットを差し出す。その型番を見れば『RX-473』と書かれたシールが貼られており、まさに私が探している物だ。


「これよこれ!さすがシェリー!」
『えへへ』
「さ、脱出しよう!クラウド達も心配だしね」


やっぱりシェリーも連れてきて正解だった。私一人だったらもっと時間がかかったに違いない。
倉庫から出て外へと通じる廊下を静かに走る。警備はまったくいなかったので、あっさり外へと出る事が出来た。


「よし、みんな逃げてね!」

パシュッという音と共に、再び照明弾が闇夜で輝いた。





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