Fallen Angel ―堕天使―
□第7話
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『ん?』
「あいつら、なんだ?」
シェリーと共に店を出ると、目の前にある広場に屯(たむろ)する男ども。あからさまにチンピラな風貌だ。
「シェリー、あいつらここの住民か?」
『違う。でも、最近、見る』
七番街スラムの自警団に所属しているシェリーが言うのだからそうなのだろう。浮きまくっている彼らに不穏な雰囲気を感じたので、自分から接触してみる事にした。
「いいか、何か聞かれても俺に合わせて知らないフリをしろ。出来るか?」
『分かった、知らんぷり、する』
頷き合い、奴らに近づいていく。
すると誰かを探しているような会話が聞こえてきた。そして俺たちに気づいたリーダー格の男がニヤニヤと嫌な笑い方をしながら顔を近づけてきた。
「兄ちゃん達、近所の人かい?」
「まぁな」
「右腕が銃になっている大男を知ってるか?この辺りに根城があるらしい」
「………どうだろう」
「そっちの姉ちゃんはどうだ?」
『さあ?』
二人してすっとぼけてはいたが、明らかにバレットの事を探している。となると俺がやる事は明確だ。
俺達の周りを回りながら様子を伺うその男は、再び嫌な笑い方をしながら口を開いた。
「鋭いね、金の臭いを嗅ぎ付けたな」
「500でどうだ」
「200」
「300だ」
「まあいい、じっくり聞かせてもらうぜ。こっちだ」
やはりキナ臭い話になりそうだ。
男どもは町の人達に「文句あっか」とか「見てんじゃねぇ」とかお決まりの台詞を吐きながら、俺達を連れて町中を進んでいく。
すると、
「シェリー!」
小さな男の子がシェリーに向かって走ってくる。そして、彼女の足にひしっと抱きついていた。
シェリーはその場にしゃがみ、男の子の目線に合わせる。
「シェリー、その男の人達に連れてかれるの……?」
『うん。話、するの』
「も、もし、喧嘩になったら……?」
『平気。私、強い』
「で、でもぉ……」
どうやらその男の子はシェリーと仲がいいようだ。見知らぬ怖い男たちに連れて行かれるのを見て、こうやって来たのだろう。
シェリーならまったく問題はないだろうがな。
『なんでも屋、いる。絶対、平気!』
そう言ってシェリーは俺の方を見る。すると釣られてその子供にも見られた。
「本当だ…!ねぇ、絶対シェリーの事、守って!」
言われなくてももちろんそうする。
子供に向かって分かるように頷くと、その子は安心したようで俺達から離れていった。
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