Fallen Angel ―堕天使―

□第6話
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『ティファ、クラウド!』

ティファの部屋を出て外付けされた階段を降りると、そこにはマーレと話しているシェリーがいた。笑顔でこちらに手を振っている。


「ごめんね、シェリー。お待たせ」
『ううん、マーレさん、一緒、楽しい』
「ふふ、嬉しい事を言ってくれるじゃないか、この子は」
『えへへ』


ティファ、シェリー、マーレの女三人で楽しそうに話をしている。ちょっと入りにくい(入る気もない)ので、階段の手摺に凭れながら立っていた。
すると、


『クラウド?』
「………なんだ?」
『なんか、ちょっと変?』
「…………」


驚いた。
特に表情には出していなかったハズなのに、シェリーは何かを感じ取ったようだ。
きょとんとした顔のまま俺の顔をじーっと見つめるシェリー。でも俺はさっきドレス姿の想像をしてしまった事もあって、シェリーからスッと顔を反らす。何故かあまり見てほしくなかったのだ。


「おやおや、この子がもうこんなに懐いているなんて、珍しい事もあるもんだ」


声の方を見ると、マーレとティファがこちらを見ている。俺、ではなく恐らくシェリーの事を見ているようだ。


「でしょ?割りと最初から警戒してなかったのよ」
「へえぇ。まさかクラウドに対してねぇ……」


そうなのか?
そう言えばティファも最初そんなような事を言っていた気もするが、俺は今のシェリーしか知らない。どのくらい違うのかなんて俺には想像もつかない。


「そんなにか?」
「うん。だってシェリーと会ったのは昨日が初めてでしょ?」
「あぁ」
「まぁ、何にしてもこの子にとってはいい兆候だね。クラウド、シェリーの事もしっかり頼んだよ」


似たようなセリフを聞いたばかりな気がするのは俺だけか?そんなに色んな人の事を頼まれても、身動きが取れなくなる。

『頼んだよ!』

笑いながらマーレの言葉を繰り返すシェリー。話すのは辿々しくても、人が話している内容はちゃんと理解している。それも何だかアンバランスな気がしてならなかった。




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