Fallen Angel ―堕天使―

□第5話
1ページ/5ページ



ねずみ退治、工場の化物退治……ようやく俺が思っていた仕事を請け負う事が出来た。
最初、猫探しの依頼を勝手にシェリーが引き受けてしまった時にはどうしたものかと思っていたが、これなら何とかなりそうだ。







『にゃあ〜』
みゃあ〜ん

シェリーが鳴く猫の鳴き真似に合わせて、白い猫が鳴いている。まるで会話をしているかのような雰囲気に、はぁ、とため息が出た。

今いるのは七番街スラムの入り口のあたり。工場の化物退治をした後、近くで鳴き声が聞こえてきたので探したら、ちょこんと座っていたのを見つけたのだ。そして今に至る。

俺はというとそこから少し離れたところにいる。
先程セブンスヘブンの店先にいるベティの猫を見つけた際、捕まえようとしたら速攻で逃げられてしまったのだ。シェリーには俺は近寄るなとキレ気味に言われる始末だったのだ。


『にゃー、にゃん』
みゃあ、みゃあ

さすがは猫好き。
あっという間に猫を抱き抱えて、俺の元へとやってきた。猫はというとゴロゴロと喉を鳴らして甘えているようだ。


「とりあえず一匹、だな」
『うん。さっき、クラウド、逃がした』
「……………うるさい」


チクッと先程の事を突つかれ、再びはぁ、とため息が出てしまった。大体動物を可愛がるなんて経験がない。何をどうすればいいかなんてよく分からないのだから、どうしようもないだろう。


『目、見るの』
「は?」
『動物、目を見る。気持ち、分かる』
「……………」
『動物、でも、伝わる』


そう言うとシェリーは抱えている猫の事を笑顔で見つめる。猫はというとシェリーの頬をペロペロと舐め始めた。


『顔、舐める、私の事、好き』
「…………そうだな」


嬉しそうに猫に頬擦りをして、幸せそうな顔をしている。まぁ楽しそうにしているならいいかと、残り一匹を探しに再び町中へと戻って行った。




.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ