Fallen Angel ―堕天使―
□第5話
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ねずみ退治、工場の化物退治……ようやく俺が思っていた仕事を請け負う事が出来た。
最初、猫探しの依頼を勝手にシェリーが引き受けてしまった時にはどうしたものかと思っていたが、これなら何とかなりそうだ。
『にゃあ〜』
みゃあ〜ん
シェリーが鳴く猫の鳴き真似に合わせて、白い猫が鳴いている。まるで会話をしているかのような雰囲気に、はぁ、とため息が出た。
今いるのは七番街スラムの入り口のあたり。工場の化物退治をした後、近くで鳴き声が聞こえてきたので探したら、ちょこんと座っていたのを見つけたのだ。そして今に至る。
俺はというとそこから少し離れたところにいる。
先程セブンスヘブンの店先にいるベティの猫を見つけた際、捕まえようとしたら速攻で逃げられてしまったのだ。シェリーには俺は近寄るなとキレ気味に言われる始末だったのだ。
『にゃー、にゃん』
みゃあ、みゃあ
さすがは猫好き。
あっという間に猫を抱き抱えて、俺の元へとやってきた。猫はというとゴロゴロと喉を鳴らして甘えているようだ。
「とりあえず一匹、だな」
『うん。さっき、クラウド、逃がした』
「……………うるさい」
チクッと先程の事を突つかれ、再びはぁ、とため息が出てしまった。大体動物を可愛がるなんて経験がない。何をどうすればいいかなんてよく分からないのだから、どうしようもないだろう。
『目、見るの』
「は?」
『動物、目を見る。気持ち、分かる』
「……………」
『動物、でも、伝わる』
そう言うとシェリーは抱えている猫の事を笑顔で見つめる。猫はというとシェリーの頬をペロペロと舐め始めた。
『顔、舐める、私の事、好き』
「…………そうだな」
嬉しそうに猫に頬擦りをして、幸せそうな顔をしている。まぁ楽しそうにしているならいいかと、残り一匹を探しに再び町中へと戻って行った。
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