Fallen Angel ―堕天使―

□第2話
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壱番魔晄炉爆破から、次の日。

朝、出掛ける時に必ず声をかけてくれるマーレさん。よくお店に来てくれる常連さんや、ご近所さんたち。挨拶を交わしながらセブンスヘブンに向かう様子は、いつも通りだった。
特に目立った被害のない七番街スラムでは、すでに日常を取り戻し始めていた。



お店に入って、まずは設置されたTVを付ける。
そこで映し出されるのは……やはり昨日のニュースの続報だった。


《……八番街と壱番街では現在も救出活動と共に崩れた建物の撤去作業が行われております。住民は眠れない夜を過ごし……》


胸にズシリと重石のようなものがのし掛かる。
この映し出される映像は、私たちが作り出してしまったもの。

本当は魔晄炉だけを爆破する予定だったのに……
爆弾もそのくらいの規模の物を作ったとジェシ―も言っていたのに……

胸の前で握った拳をぎゅうっと握り締める。
私は………私はどうしたかったの?


故郷のニブルヘイムを燃やし、両親を殺したセフィロスが憎い。そんな原因を作り出した魔晄炉が憎い。そんな魔晄炉を建設した神羅が憎い。
その気持ちが揺らぐ事は決してない。



でも…………

こんな悲惨な状況を作り出してまで、魔晄炉を爆破しなくてはいけなかったのかな?私たちが分派として分かれる前みたいに、元凶であるプレジデント神羅を狙うだけでよかったんじゃないかな……


グラグラ揺れる思いと目の前に映し出される映像に耐えきれなくなり、そっとTVを消した。



少し鬱な気持ちになりながら、カウンターの中へと入り今日の仕込みを開始した。
そんな時だった。


「ティファ」


私を呼び掛ける声。振り返るとそこにいたのは、昨日の作戦に参加していたクラウドだった。


「あ、おはよう」


さっきの事は一旦心の隅に追いやろう。そうでなくては自分が保てなくなる。目の前の幼馴染みに弱々しく頼ってしまう。
そう思い、無理やり笑顔を作ってクラウドを向かえた。





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