Fallen Angel ―堕天使―

□第1話
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ざわざわと先程あった出来事を話す人。報道されるニュースを食い入るように見つめる人。ここは大丈夫なのかと怯える人。その反応は様々だ。
ここ七番街でも壱番魔晄炉で起きた爆破事件で持ちきりだった。


それはそうだろう。
あれだけ大規模な爆発だったんだ、話題にならない方がどうかしている。
アバランチのアジトであるセブンスヘブンへと向かいながら、耳に入ってくる爆発事件に関する噂を聞き流していた。

どうせ俺には関係ない。報酬を貰えれば奴らとの縁も切れる。
そんな事を考えながら、七番街の中心地への足を進めているところだった。




セブンスヘブンへと到着すると、店の階段に人が座っている。今回のアバランチの作戦に助っ人として俺を紹介してくれた、幼馴染みのティファだ。こちらを見て少しホッとしたように笑顔を見せた後、バレットたちと店の中へと入っていく。

他の三人は……どうやら自宅へと戻ったらしい。
これでようやく報酬の話が出来る。そう思いながら店の中へと入ると入り口でティファに声をかけられる。


「クラウド、お疲れ様。それ、どうしたの?本物でしょ?珍しいね」


俺の胸にある黄色い花。それを指差しながら笑っていた。確かに自分には不釣り合いなそれを引き抜くと、目の前にいるティファへと差し出した。


「意外だな、クラウド、こんなことするんだ」
「五年ぶりだ、少しは変わるさ。バレットに話がある」
「うん、入って入って」


カウンターに座っているバレットに報酬の事を伝えれば「会計係りはティファだ」と言われてしまった。
そのままカウンターの中にいるティファを見れば、眉をハの字にして困ったように笑っている。マリンの相手をしてとか、ご飯にする?とか報酬の話に触れないようにしているようだ。
直球に「報酬の話がしたい」と言えば、カウンターから出てきてこそっと話してくる。


「あのね、クラウド。ちょっと外に出ない?」


ここでは話しにくい内容なのかもしれない。たらい回しにされているような気もするが、従うしかなさそうだ。
はぁ、と小さくため息をついた時だった。


『バレット!無事!?』


バタン!と扉を勢いよく開け、バタバタと入ってくる女。そしてその勢いのままバレットへと飛び付いていた。


「おう、シェリーか!全然無事さ!あんなのどうって事ねぇよ!」
『よかった!ジェシ―たち、さっき会った』
「あいつらも、もちろん無事だ」
『でも、ジェシ―、ちょっと変』
「あー……」


バレットは頭をぽりぽりと掻きながら、何て伝えればいいのか迷っているようだ。ジェシ―が変だというのは恐らく自分の作った爆弾の威力が想像以上のもので、住民に多くの被害を出してしまったからだろう。


それより、この女はなんだ?
少し辿々しい話し方をしているが、見た目は俺やティファと同じくらいの歳に見える。
栗色の肩まであるふわふわした髪、白の半袖Tシャツにショートタイプのジーンズからはスラリとした手足。足元には黒のショートブーツ。そして腰にはくるくると纏められた鞭のようなものが提げられている。

訝しげに女の事を観察していると、ススス…とティファが近づいてきた。




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