ここが噂の忍術学園

□忍術学園での就職の段
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うーん………

事務の募集が出ていたので、その給料の良さに釣られてほいほい来てはみたものの……

まったく忍ぶ様子のない、大きな看板。
ある程度慣れた人なら越えられてしまいそうな塀。

これが本当に、あの忍術学園なのだろうか……

『ま、どうにかなるか!』

とりあえず行ってみないとどんなもんかは分からないし、面接だけでも受けておこう……
そう思い、門の扉をコンコンと叩く。

「はいはーい!」

聞こえてきたのは、柔らかいがやや間延びしたような声。
そして扉がギィと開けられる。

「どちら様ですかぁ?」
『こちらで求人募集を見てお伺いしたのですが………』
「募集?……あー、事務員募集のヤツですか?」
『はい』

よかった、まだ募集はしてるみたい。
扉をくぐろうとすると、先程の男性がスッと用紙を出してきた。

「入門票にサインをお願いしまーす!」
『……あ、はい』

サラサラと自分の名前を書き、男性に渡す。

というか、この人が門兵とかになるのだろうか?ちょっと頼りなさそうな気がするんだけど、そう思わされてるだけなのかな?

「ありがとうございまぁす!では、学園長のところへご案内しますね」
『は、はい!』

うわ〜………
面接って学園長がやるんだ……ちょっと緊張しちゃうなぁ。
ちゃんとしゃべれるかな?

そんなことを考えながら男性の後を付いていくと、突然男性の姿がフッと消えてしまったのだ。

『えっ!?き、消えたっ!』

……………と思ったのだが、目の前には大きな穴が空いている。ひょっとしたら、この中に落ちてしまったのだろうか?

恐る恐る穴の中を覗くと、思った通り男性は穴の中に落ちてしまっていた。

『大丈夫ですか〜?』
「いてて……大丈夫ですよ〜。あ、でも引っ張り上げてくださぁい」

よかった、怪我とかはないみたい。
でも、引っ張り上げるって言われてもなぁ……
女の力じゃ難しいし、下手したら私まで落ちちゃうかも。

するといつの間に来たのか、私のすぐ横で穴を覗く、緩くウェーブのかかった髪の少年がいた。

「おやまあ。小松田さんでしたか」
「あ、綾部くーん!ちょっと引っ張りあげてぇ」

すると綾部くんと呼ばれた少年は、躊躇いなく穴の中に腕を差し出し、穴の中に落ちた人を引っ張り上げた。

「はぁ、出れたぁ!」
『大丈夫ですか?』
「大丈夫ですよ〜、いつもの事なんで」

なんか、サラリと不安になる台詞が出てきたような………

「では、これで」

そう言うとその少年はペコリとお辞儀をして、さっさと去っていった。
忍装束を着ていたから、ここの生徒なのかもしれない。

「いやぁ、ご迷惑をおかけしました。さ、行きましょうか」
『は、はい……』

……ここで働いても大丈夫なのかな……?
まだ面接すら受けてもいないのに、私の中には一抹の不安が残ってしまったのだった……




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