ひらりと翻り
□第十六夜 舞踏会への招待状?
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ここは黒の教団の中枢部でもある科学班。
オレは任務もなくちょっと暇だったので、ここに遊びに来ていたさ。
すると室長であるコムイから、何かを思い悩むような唸り声が聞こえてきた。
「うーん、うーん………」
「コムイ、便秘さ?」
「違うよ!この任務、どうしようか悩んでるんだよ!」
任務の事でコムイが頭を悩ませるなんて珍しい。いつもさくっとエクソシストに任務を与えているヤツなのに。
「ラビ。なんでも舞踏会に参加しなくちゃいけないみたいなのよ」
「へー……、舞踏会か!」
コーヒーを運んできたリナリーがコムイの悩みを教えてくれる。
普段AKUMAと戦ってばかりなので、そういう華やかな場所への任務ってのは少し魅力があるさ。
でも一体どうしてコムイは悩んでるんさ?
「うーん……誰にしよう……」
「あ!それならオレ行ってみたいさ!」
はいっと手を挙げて、今回の任務に立候補する。
誰に行かせるかで悩んでいるくらいなら、オレが行ってみたいさ!
「うん、まぁ、ラビは大丈夫なんだけど……」
「?なんなんさ?何か他にあるんさ?」
「いや……ダンスとかもあるから女性も派遣しないとマズイんだ」
「?それならリナリーでいいんじゃね?」
女性という事で、今いるリナリーの名前を挙げてみた。とても軽い感じで言ったんだけど、どうやらこれが悩みの原因で地雷だったみたいさ!
「何を言ってるんだーー!僕のかわいいリナリーをそんな飢えた狼がウジャウジャいる場所に派遣出来るかーーーっ!!」
「………………うわぁ」
「……兄さん……」
あー、そういう事ね。何だか納得出来たさ。
つまり女も派遣しなきゃいけないけど、リナリーは派遣したくない。仁美は別の任務に行っているから頼めない。
ったく、このシスコンはどうしようもねぇさ!
「仁美が帰還するのを待つのは?」
「舞踏会があるのが四日後なんだよー……」
「日にちギリギリさ……ドレスとかタキシードとかどうするんさ?」
「だから、今日には決めないとマズイんだよ!」
「じゃあ腹括ってリナリーに頼むさ!」
「それはイヤだああぁぁぁ!!!」
こんの我儘シスコン室長が!!ほら、リナリーが恥ずかしそうに俯いちまってるさ!
それじゃ、任務はどうするんさ!まったく……
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