ひらりと翻り

□第十五夜 初任務
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『うわわわわ……!!』
「ばっかやろ!もっと速く走れっ!」
『全力で走ってるわよっ!』



今、私たちがいるのはイタリア郊外の村。
空き家になってしまったお金持ちの屋敷なのだが、イノセンスがあるらしいとファインダーから報告が上がり、ここにやって来たのだ。

前にコムイ室長に宣言された通り、神田とのコンビで。


そしてなぜ走っているのかというと……とても大きなテディベアに襲われているからです。


『なんでぬいぐるみが襲ってくるのよ!』
「AKUMAの能力に決まってんだろ!」
『そりゃそうなんだろうけど……っ!』


屋敷の長い廊下をダダダダッと駆け抜ける。でも逃げてるだけじゃキリがない、少しでも足を止めなきゃ!


「イノセンス発動!」


神田が六幻を発動し、テディベアに向かってその刀を振り下ろした。
右肩から左の腰にかけて袈裟懸けにザックリと切り裂かれ、中から綿がモコモコと溢れ出ている。


『やった……!?』
「…………………いや、まだだ」


神田がボソリと呟いたかと思えば、ムクリと起き上がるテディベア。

うわぁ〜……右肩からダラリと腕をぶら下げたような状態になって、ちょっとしたホラーになっちゃったよ〜……!


「たぶん、いくらコイツを斬っても意味ねぇな。本体をやらない限り襲ってくるんだろ」
『あはは……そう』


本当にレベル2になるとAKUMAって厄介ね!自我があるから考えて戦いをしてくるし、意味分かんない能力はあるし!
結局ぬいぐるみを操るのが能力なワケ?


するとテディベアはまだ胴体に付いている左腕を振りかぶり、私たちに攻撃を仕掛けてきた!
でもそんなに速くはないから、私も神田も余裕でかわす。
大きいとはいえ所詮はぬいぐるみと思っていたのだが、その力はかなりのモノだった。

バキィッ!!


『!床が………』
「チッ、強化されてやがるな……」





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