ひらりと翻り

□第十三夜 歓迎会
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「コムイ呼んださ〜?」


ジジイとの鍛練を終えて、汗を拭きながらコムイの元へと行く。
いつも通り任務を言い渡されるのかと思っていたが、コムイの振り返った表情を見るとどうも違うようだ。


「ラビ、ついに来たよ!」
「?何が来たさ?」
「ふふ、連絡が来たのよ」
「連絡?って、何の………」


そこまで言いかけて、ふと止まる。
コムイはずーっとニヤニヤしていて、気味が悪い笑顔のまま。
リナリーはどことなく嬉しさを隠しきれていない様子。と言うことはもしかして……


「………仁美からの連絡………?」
「あったりー!」
「約半年ぶりよね、仁美ってばまったく!」


両手を上げながら喜ぶコムイと、連絡をしない仁美に対して呆れているリナリー。兄妹なのに正反対の反応が面白い。
くつくつと笑いながら、詳しい内容を聞く。


「もう戻ってくるんさ?」
「これから戻るって!だから2、3日はかかると思うよ」
「そっかー!ようやく帰って来るんさな!」


仁美がティエドール元帥と共に修行に出たのは、今から半年程前。
早く闘えるようになりたいから、という仁美の希望を考慮したものだった。
先ほどリナリーがぼやいていた通り、仁美は半年間まったく連絡をして来なかったのだ。

仁美はまだ無線ゴーレムを持っていないので、こちらから連絡する事は出来ない状態だった。ティエドール元帥はもちろん持っているが、元帥に無線連絡を取るのは気が引けてしまう。
そしてようやく来たのが、帰還の連絡……
まったく、どれだけ待たせるんだか。

するとリナリーがいい事を思い付いたようで、みんなに向かってねぇねぇと声をかける。


「仁美が戻ったら、帰還も兼ねた歓迎会をやらない?」
「歓迎会?」
「そう!仁美はもう私たちの仲間なんだから、いいでしょ?」
「あぁ!いいと思うさ」


仁美が修行に出るまで居たのは、一ヶ月もなかった。当然教団内でも知っている人はごくわずかだ。コムイが中央の役人の目に触れないように黙っていた、というのが大きいのだが、今度は正式にエクソシストとして在籍になる。

だからこその、歓迎会だ。




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