ひらりと翻り

□第十一夜 別れと約束
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私の旅立ちの日が決まり、みんなに挨拶をして回る。
みんなと言ってもそこまで知り合いは多くないので、あっという間に終わってしまった。


『あと、言ってないのは………』



……いることはいる。

でもわざわざ言いに行くべきなのかどうか、悩んでしまう。
言いに行っても彼の性格上、「関係ねぇ」の一言で終わる可能性がとても高い。


まぁ会ったら言えばいっか、と適当な感じで私の中で終わる。




今日は修行はなく、旅の支度を終わらせるように言われている。
ただ私物がほぼないので、支度はあっという間に終わってしまった。



正直言ってやる事がない……


『……修練場にでも行こっかな……』












「負けるなーーっ!」
「誰か神田のヤツをぶん投げろぉ!!」


な、なんか修練場から物騒な声が聞こえてくる。でも今の台詞で神田がここにいるのは確実だ。


修練場の中へ進むと、すごい光景が広がっていた。砂場の脇の方にグッタリとした男達が、山のように積み重なっている。
その上の方にはラビも乗っかっていた。



『ラビ!これ、どうしたの?』



するとゆっくり顔を上げたかと思ったら、悔しそうな声で話し始めた。



「…………鬼が居たさ…………」

『鬼?』

「あれは、人の形をした鬼さ!」


何の事だろうと、首を傾げる。すると後ろにある砂場から、ズダーーンという音が聞こえてきた。思わず体をビクッとさせてしまった。


『えっ、何の音?』

「あぁぁ……まだ鬼がいるさぁ……」


ラビ曰く、砂場に鬼がいるらしい。
砂場へと向かうと、そこにはガタイのいい男の人を投げ飛ばす一人の男がいた。


「フン、相手にならねぇな」


どうやらラビの言っていた鬼とは、神田の事らしい。すました顔をしながら、再び男を投げ飛ばす。その繰り返しをしていた。


『鬼かぁ……なるほどね』


妙に納得してしまうような光景に、思わず笑いが出てしまう。

それにしても神田の体力は無限なのだろうか?次々とファインダーらしき男の人を投げ飛ばしていく。





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