ひらりと翻り
□第八夜 買い物
1ページ/6ページ
ようやく基礎トレーニングに慣れて、筋肉痛がなくなってきた頃………
私にとって、とても嬉しい連絡がきた。
それは、街への買い出し。
黒の教団に来てから、初めての外出なのだ。
どうやらコムイ室長が気を使ってくれたらしい。
「まずはこの買い物を頼むね。それが終わったら、後は自由にしていいよ!」
つまり頼んだ物さえ買えば、私も買い物ができるという事。
洋服とか生活用品とか、今は教団から支給された物しかない為、自分の物を買いに行けるのが嬉しくて仕方がない。
しかも!頼まれた買い物が大量なのと、まだ危ないので護衛も兼ねて、一人付き添いを付けてくれるのだという。
細かい気遣いをありがとうございますっ!
心の中で、コムイ室長にずっと感謝をしていた。
この時までは……………
「……………」
『……………』
コムイ室長おおぉぉぉ!!
なんでよりにもよって!ポニーテール男子が付き添いなんですかねぇ!?
待ち合わせの地下水路の船着き場で、思わず大絶叫しそうになってしまった。
コムイ室長は私が神田とあまり仲良くないって、知ってるハズなのにひどいよ……
「……ぉぃ」
ラビだったら買い物をしていない時でも、楽しくおしゃべりが出来たのに!
なんで、神田なの……
「おいっ!」
『へっ!?』
いきなり肩をガシッと掴まれた為、変な声を出してしまった。
『な、何?』
「さっきから呼んでんのに、気づかないからだろ」
しまった。
コムイ室長への恨み言で、頭がいっぱいになってたわ……
「さっさと船に乗れ。行くぞ」
『……はい……』
前途多難……
この言葉がとてもピッタリだと、心の中で呟きました……
.