ひらりと翻り
□第七夜 修行
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「はぁー……やぁっっと教団に帰って来られたさ〜!」
思わずため息と本音が出てしまった。
AKUMAを全滅させたあと、急いで教団に戻ってきたからだ。
ユウも一緒だったから、もっと早く戻れると思っていたのに、予想以上にAKUMAの能力に手こずってしまったのだ。
地下水路の船着き場に到着し、小舟を寄せて、ピョンと飛び降りる。
馴れている為、舟はあまり揺れなかった。
続いて一緒に乗っていたユウが降りる。
「さぁて!ちゃっちゃとコムイに報告に行くさ!」
「あぁ」
上に登る階段を上がっていく。疲れている体でこの階段は正直キツい。いつもならダラダラと歩いて、ユウに怒られたりしているが今日は違う。
「いつもその調子ならいいんだがな……」
とか、なんか嫌味を言われてしまった。
「いや〜、目的があるとないじゃ変わるっしょ!」
「……あの女か」
てかなんでユウはそんなに新人エクソシストに厳しいんだろうか……
オレも最初の頃は散々な言われようだったさ。
考えが甘かったりするのが嫌なんだろうなと考えていると、ユウが口を開いた。
「どうせ、いつものストライクとやらだろ」
「へ?」
なんか考えていたことと、まったく違うことを言われた。
俺が仁美に惚れて、それで気にしてると思ってるみたいさ……
「や、なんつーか、ストライクとはちょっと違うよーな……」
「なんだ。万年発情兎だから、てっきりそうなんだと思ってたぜ」
「………ユウ、ちょっと酷くね?」
まぁ、普段がそんな感じでヘラヘラしてるからそう思われても仕方ないか……
確かに仁美のことは気になる。でも今までしてきた恋愛とは違う感じがするんだよなぁ…
「ま、どうでもいいがな」
「何なんさ、ユウ!やけに突っかかってくるさ」
「………チッ…」
なんで舌打ち?なんか気に障ることでも言ったさ?
「……!まさかユウも仁美のことが気になって……」
「ハッ!馬鹿馬鹿しい」
そうこう話していると、科学班の部屋に辿り着いた。
ガチャッと扉を開けながら、声をかける。
「うーっす!今任務から戻ったさ〜」
「あっラビ!お帰り〜!」
「おー!神田もお疲れさん!」
口々に声をかけてくれる。
そしてコムイのいる、部屋の奥の方まで進んでいく。
「やぁラビ、神田君!おかえり!」
「ただいまさ〜」
「あぁ」
そして今回の任務の報告書を提出する。
AKUMA退治だけだったから、報告書もとても楽チンだった。
そして気になっていることをコムイに聞く。
「なぁ、仁美は今どうしてるんさ?」
「………」
「仁美ちゃんかい?今は修練場で組み手をやってるはずだよ」
おっ、さっそく修行してるんか!
まぁエクソシストで入団したんだから、当たり前さな。
「んじゃちょっくら顔出してくるさ!」
すると神田はなにも言わずに、科学班を出ていってしまった。
本当に愛想が無さすぎさ……
でもまぁ任務は終わったんだし、これからは個人の時間だ。付き合わせるのも悪い気がする。
そう思い、1人修練場へと向かった。
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