ひらりと翻り
□第六夜 年齢
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「だあぁっ!まーた増えてるさっ!」
スペインのマドリードとバルセロナの中間に位置するアラバルシン。中世の雰囲気漂うこの街は、普段なら観光客も多いことだろう。
しかし今は人っ子一人見当たらない。
3日前からここに滞在して任務に当たっているが、破壊しても破壊してもAKUMAが湧き出てくるという状況なのだ。
「チッ」
ユウもこのAKUMAの多さにはイライラしているようだ。まぁユウの場合は普段からイライラしてるけど。
体力をあまり使わないように、建物の陰に身を隠す。この辺りは狭い路地や階段など隠れる場所はたくさんある。
隙をついて破壊して、また隠れる。それが一番効率的だ。
「ふー……あと一体何体いるんさ?」
建物の陰から様子を伺う。
唯一の救いはすべてレベル1ということ。オレの鎚だったら一振りで倒せる。ユウの六幻だって一撃で倒せるだろう。
ただここにいるAKUMAは普段よりもアッサリ倒せているのが気になる……
この違和感の原因は何なのだろうか…
さっさと倒さないといくらなんでも体力が持たない。
そこで特にAKUMAが密集している場所へ移動して、原因を探ってみることにした。
「っ!」
するとレベル1が密集している中心に、明らかに自我を持ったボール型ではないAKUMAがいるのを見つけた。たぶんレベル2だ。
するとそのAKUMAが口から風船のような物を飛ばしている。それは徐々に形を変え、レベル1のボール型AKUMAへとなったのだ。
「なーるほど、アイツが原因か……」
AKUMAが増え続ける原因は分かった。あのレベル2がAKUMAを作り出していたからだった。道理でレベル1とは言え、あんなにアッサリ倒せていたのかと納得する。
早速ユウに無線ゴーレムでそのことを伝えた。
「ユウ!教会の近くに今回のボスがいたさ!」
「!……すぐ行く」
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