Fallen Angel ―堕天使―

□第12話
3ページ/5ページ



「ヤバ………っ!きゃあぁ!!」
「ジェシー!!」


悲鳴と共に転がり落ちる音。
どうやらジェシーが怪物に弾かれ、階段から転がり落ちてしまったようだ。


「くっ………」


再びバスターソードを構えると、怪物の態度は一変していた。俺たちへの攻撃を一斉に止め、ふわふわとどこかへ飛んで行ってしまったのだ。
急に辺りは静寂に包まれる。


「なんだ…………?」
『"あの女が怪我をしたか……ならば今回はそれで良い"』


シェリーの後ろにいた怪物もさらさらと消えていく。何もいなくなると、シェリーはその場にドサッと倒れ込んでしまった。


「シェリー!」


彼女に駆け寄り様子を見ると、特に異常はないようで眠っているかのようだ。呼吸も正常だし、脈もしっかりしている。
それにホッと安堵の息をつき、彼女の体をそっと抱き抱えた。




「えへへへ、ドジっちゃった」


ジェシーは体を起こしながら心配するバレットとティファに答えていた。だが、足を痛めてしまったようで歩くのが難しいようだ。



「……やっぱりアイツは危ねぇよ」
「堕天使だって言い続けてる奴らが正しかったのか……」



ザワザワと周りに集まってくるスラムの住民達。あれだけの戦闘が街中で起こったんだ、心配して様子を見に来るのは仕方ない。
だが……


「見世物じゃねぇぞ!!!!」


バレットの一喝で住民達は怯み、そそくさとその場から離れていく。
だが、マズイな。シェリーが俺たちを攻撃しているところを見てしまった人がいるようだ。
そうなると、彼女はここに居づらくなってしまう。


「ったくなんだったんだよ、あのウジャウジャはよ」
「………」
「ま、この掃き溜めじゃ、どんな突然変異がいたって不思議じゃねぇ………ったく魔晄炉ってのは……」


一人でブツブツと愚痴る。突然変異=魔晄炉と結び付けるのは少し安易だとは思うが黙っていよう。面倒くさい。


「大丈夫か?」
「平気って言いたいところだけど……あはは」
「ティファ、俺はシェリーを連れて行くからジェシーを頼む」
「うん!」


抱えているシェリーの事を抱え直し、店の中へと入っていく。ジェシーもティファに肩を貸してもらいながら中へと入ってきた。


「あ〜ぁ、私がお姫様抱っこして欲しかったなぁ」
「残念だったな」


ジェシーは椅子に腰掛けながら、そんな軽口を叩いてくる。足を痛めた以外はきっと大丈夫だろう。
問題は、シェリーだ。






.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ