Fallen Angel ―堕天使―

□第11話
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何だかんだ熟睡する事が出来たらしく、目覚めはそんなに悪くなかった。
部屋を出て外付けの階段を降りるとそこにはいつもの顔。大家のマーレさんとシェリーがお喋りをしていた。


「おはようございます」


私がいつも通り挨拶をすると、マーレさんがいつもより機嫌良さそうな顔をしていた。シェリーを見れば、ちょっと困ったように眉を下げている。


「おはよう、ティファ!聞いとくれよ朗報だよ!」
「朗報?何ですか?」
「ふふ、シェリーが大人に一歩近づいたのさ」
『マーレさん〜……』


マーレさんの腕を掴みながら、シェリーが困ったようにしている。なんだかそれだけでもシェリーにとって大事な事があったんだろうなって思える。


「なになに?」
「この子、なんでも屋の事が好きみたいなのさ」
『〜っま、まだ、分かんない!』


マーレさんの言葉にシェリーが真っ赤になっている。その可愛らしい仕草に私まで連れて笑ってしまった。


「そうなんだ!いいと思うよ?」
『でも……よく、分かんない』
「さっき言ったじゃないか。なんでも屋が他の女と抱きついてるのを見ると、嫌なんだろ?」
『…………………うん』
「ならそれはヤキモチさ。なんでも屋を好きな証拠だよ」
『……………………』


それはきっとシェリーの初めての恋。もちろんここに来るより前の事は分からないから初めてかどうかは決めつけられないけど。
でも今のシェリーの顔を見ていたら応援したくなっちゃう。どうしたらいいのか分からず戸惑っている彼女を可愛いと思う。


「ね、シェリー。クラウドと一緒にいたい?」
『…………………うん』
「ふふ、素直でよろしい!」


シェリーの頭を撫でてあげると、困ったようにしながらも笑顔だった。私と同じか少し年上だと思われる彼女。でもその笑顔は幼い少女のようだった。







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