お姫様と天化の事情

□第14話 やってきた試練
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親父と一緒に妲己の後ろから莫邪の宝剣を思いっきり振りかぶる。
よっしゃ、捉えた………!

「いやん♡」

妲己が手に持っている扇を仰いだかと思えば、体には重い重い衝撃波が直撃する。

「うわっ……!」
「くっ……何というパワーだ……」

おかげで避ける間もなく、みんな吹っ飛ばされてしまったさ!というかこんなのどうやって近づけばいいんさ!?

「まだまだねん……」

吹っ飛ばされてしまったせいで、離れたところから妲己を睨み付けていると、少し空気が冷たくなってきたような気がする………
な、なんなんさ。また新しい敵さ!?

「これは……誰かしらん?」

するとビキビキビキ……と妲己の周りに、突如氷で出来たつららのような物が何本も出来上がっていく。それらは妲己に先端を向け、シュッと牙を向けた。

「くす………えい♡」

妲己は動揺する事なく再び扇を仰ぎ、つららを粉々に砕いてしまった。砕かれた氷はキラキラと散っていく。

「もっと強くなってもらわないと面白くないわん……趙公明ちゃんとでも戦って、強くなってねん♡」

パキィィィン……という音と共に、妲己の体が透けていき最後には消えてしまった……
くそ……!まだ俺っちたちはアイツの足元にも及ばないって事さ!?

「くっそ、逃げやがったさ!親父、大丈夫さ?」

親父に声をかけるが返事はなかった。
おかしいさ……確か妲己に吹っ飛ばされた時、すぐ近くにいたはずなのに……

「おーーい!親父、どこにいるさっ!?」

辺りを探すがその姿は一向に見当たらない。するとすぐ近くにいた蟬玉も同じようにモグラの事を探し回っていた。

「ハニーーっ!どこにいるのぉーー!?」

嫌な予感がするさ。ひょっとして、捕まっちまったんさ?いや、でも親父が大人しく捕まるとは思えないし……でも……

くっそ……!師叔にこの事を伝えなきゃまずい!

「蟬玉!とりあえず師叔のとこへ行くさ!」
「そ、そうね……!」

走って反対側に飛ばされていた師叔と楊ゼンさんのところへと向かう。その間も探すが親父もモグラも姿は見当たらない。

「師叔!」
「太公望!!」

「おお、おぬしらも無事か!」

見ると師叔も楊ゼンさんも特に怪我はしていないようだ。妲己は本当に俺っちたちがどのくらい強くなったのか確かめに来ただけというのだろうか……?





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