年下の綾部くん

□私と周りの変化
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「……………」

近くの雑木林の中に潜んで、城の様子を見守る。今のところかすみ達からの連絡はないので、俺らはまだ待機だ。

でもこうやって暇な時間が出来ると、別の事を考えてしまうのが人間というもの。もやもやと考えるのは、実習の打ち合わせの時の事だった。

「(田村の事は俺が呼んだが、綾部はなんであそこにいたんだ?)」

さらに打ち合わせの終わったかすみを連れて、どこかへ行ってしまったのだ。それに最近綾部とかすみの噂もよく聞く……
それを考えると綾部がかすみの事を好いているのは明らかだ。

「はぁ………」

なかなか実らない想いにため息が漏れてしまう。

「久々知先輩、どうしましたか?」
「あ、いや、何でもないのだ」

いつの間に戻ってきたのか、ため息をついたところを田村に聞かれてしまった。こんなんじゃダメだ、と気合いを入れ直す。
すると戻った田村がユキちゃんからの伝言を伝えてくれた。

「今夜、かすみ先輩が役人のところへ行くそうです」
「そうか……その役人が目的の密書を持っていれば、今夜には俺らも動くぞ」
「はい!すぐに動けるようにユリコも準備万端です!」

そう言って田村は石火矢のユリコを一撫で。火器の扱いについてはいつも自画自賛してるように、学園の中でもピカ一だ。ただその愛情の注ぎ方には思わず苦笑いをしてしまう。
今後その愛情を人に向ける事があるのだろうかと、心配になってしまう程だ。

「さて、狼煙が上がるのを気長に待つか」
「はい!」




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