お姫様と天化の事情

□第1話 木に成る人
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すると空から発兄様を呼ぶ声が聞こえてきました。


「こんなところにおったのか、武王!」
「師叔!」
「うげ!」
「おぉ、天化に藍季もおったか!すまぬがこれから軍義を行う故、武王を連れてゆくぞ」


なるほど。発兄様はその軍義に出るのが嫌だったようですね。
私の後ろに隠れるなんて、無駄なことだと思うのですが。


「今回に関しては、旦が居れば大丈夫だろ!?」
「そうもゆかぬ!」


私は後ろに隠れている発兄様の腕をそっと取り、逃げられないようにしました。


「あ、藍季っ!離せ!」
『発兄様!観念してください!』
「藍季、よくやった!」


そのまま発兄様を、四不象に乗る太公望様の後ろに乗せ、ロープでぐるぐる巻きにしました。


「藍季の裏切り者ー!」
『何とでも仰ってください!』
「うむ、かたじけないのう」


そんなやり取りを天化様は、ポカーンと見ていました。それはそうですよね。



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