お姫様と天化の事情

□第1話 木に成る人
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私を探しに来たのが、周の武王だったことに相当驚かれたようです。
天化様が私の事をマジマジと見てきました。
私はニッコリ笑って、身分を明かすことにしました。


『天化様!私は武王の妹に当たる、姫藍季と申します』
「い……っ、妹?」
『発兄様!先程私が難儀していたところを、天化様に助けて頂いたのです』
「そーだったのか!天化、妹が世話になったな!」


天化様は私の身分を知ってからと言うものの、驚きすぎて固まってしまったようです。
そこまで兄妹というのが信じられないのでしょうか?見た目はよく似ていると言われるのですが………


「ほ、ほんとに妹さ……?」
「何言ってんだよ、天化!正真正銘、俺様の妹だ!」
発兄様は私の肩に腕を回し、比べやすいように顔を近づけます。
『数いる兄弟の中でも、発兄様とは母上も一緒なのですよ!顔、似ていませんか?』
「確かに顔は似てるさ……」


でもまだ天化様は納得されない様子です。なぜなのでしょうか?


「そしたらお姫様がなんだって、こんな高い木に登ってたんさ………?」
「藍季、お前またこんな木に登ってたのか!いい加減止めるように、旦にも言われてたろ?」
『いい景色が見たかったからです!なぜ私は木に登ってはいけないのでしょうか?』

「「……はぁ……」」


発兄様と天化様が顔を見合わせて、ため息をつかれました。
そんなにダメなことなのでしょうか?


「みんな、あーたの事を心配して言ってるんさ」
「そうだぞ、藍季!いい加減止めないと痛い目をみるぞ!」
『それなら発兄様こそ!いい加減女の人を見境なく追いかけるのは、止めた方がいいと思います!』
「うっ…………」
「王サマ………」


あぁ、天化様がとても軽蔑した眼差しで発兄様を見ています。でも事実なのでどうしようもありません。



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