ひらりと翻り

□第五夜 団服
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「前に1ヶ月くたばらなければ名前を覚えてやる、とか言われた人もいたわよ?」

『…………』



何て言うか、言葉が見つからない。とんでもない考え方の持ち主に唖然としてしまう。
そう言えば初めて会った時も、ラビに褒められたっけ…



そのラビと神田が今は一緒に任務に行っている。ラビの性格ならおそらく大丈夫なんだろうけど。
名前で呼ぶくらいだしね。



「だから神田のことは何も気にしない方がいいわよ。私も後で怒っておくから」



……最後すごい台詞があったような…



神田を怒る?しかもリナリーの方が確実に神田より年下だよね?



『神田を怒れるの……?』



思わず聞いてしまった。
すると笑いながら説明してくれる。



「神田とは幼馴染みみたいなものなのよ!昔から教団にいるからね」

『あ、なるほど』



確かに昔から知った仲なら、色々言うこともできるだろう。


よし、神田と何かあったらリナリーに相談しよう!


そんなことを話していると、通路から声をかけられた。



「あーーっ!いた!仁美ーー!」


ブンブン手を振りながら声をかけてくる。
厚めの眼鏡をかけ、髪の毛をオールバックにして後ろで2つに結んだ男の人。
科学班のジョニー・ギルだ。



『どうしたんですか?』

「仁美の団服を作るから、食事が終わったら科学班に来てねー!」

『はーい!分かりましたー!』



そう返事をすると、またブンブンと手を振ってジョニーは去っていった。


「ジョニーが団服のデザインもしてるから、希望があれば言うといいわよ」

『そうなんだ、わかった!』



女の子がこうやって近くに居てくれるとやっぱり助かる。
男は気にしないようなことも、女は気にしたりする。それに気づけるのも男よりは女の方だ。


夕飯も食べ終わったので、科学班へ向かう為、席を立つ。


『リナリー、色々教えてくれてありがとう!』

「何言ってるのよ!女同士なんだし、また色々と話しましょ」

『うん!』



リナリーに手を振り、食堂をあとにする。
近くにいる女の子がリナリーみたいな良い子でよかった。年下なのにかなりしっかりした女の子。私も見習わなきゃなと思ってしまう。



科学班へと向かいながら、そんなことを思うのだった。





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