ひらりと翻り
□第三夜 初めまして
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「お、ユーウー!任務から戻ってきたんさ?」
「チッ……うるせぇ奴に会っちまった」
ひどいさー!とラビは軽い感じで言う。
舌打ちをしたその人は、ラビと同じように黒くてシルバーの装飾がされたロングコート。
青みがかった長い黒髪を一つで結っている。いわゆるポニーテールだ。
そして、何よりも気になってしまったのが、彼が背負っているモノ。
どうも日本刀のように見える……
するとじっと見ていたのが気に入らなかったのか、その人にじろりと睨まれてしまった。
「おい。何ジロジロ見てやがる」
『っすみません!』
こういうちょっと怖い感じの人には、ハキハキときちんと謝るのが一番だ。
今までの社会経験から、キチッとお辞儀をする。
「…………そーかよ……」
そう呟くと男の人は、ふんと鼻を鳴らして去って行った。
大丈夫そうかな、と思っているとラビが驚いた様子で声をかけてきた。
「すごいさ、仁美!ユウが新人に対して、あれだけで終わるなんて!」
……普段がどんだけひどい人なのだろうか?
肩を叩きながら褒められているが、少し不安になってしまう。
『えと、ユウさん?だっけ?そんなにひどい人なの?』
「いや、ひどいっていうか、馴染もうとしないっていうか、自分に正直っていうか……」
なるほど……
つまり一匹狼タイプなのかな、彼は。
でも話しかけてもガン無視はしないみたいだし、まぁ何とか平気かもしれない。
そんなことを考えていると、ラビが捕捉してきた。
「アイツ、神田ユウっつーんさ。オレみたいにファーストネームで呼ぶとキレるから、みんなは神田って呼んでるけどな!」
『そうなんだ。神田さんね』
「……なんか、さん付けはちょっと違うさ……」
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