TEXT/ドラゴンボール

□第2話
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あらたまって誇らしげに、銀髪の男はバーダックを見据えた。

対するバーダックは嘆息を漏らす。

「…聞いた俺がバカだった」
「ちょっと、反応薄いですねぇ」

運命の界王神と名乗った男は、子供のように指を顎に当て、頬を膨らました。
それを見て、ますますバーダックのテンションは下がる。

「ストレートに信じられるか。
もういい。お前の凄さは分かったから、さっさと帰してくれ」
「…帰るって、いったいどこへ?
君の故郷はすでに消滅しました。君自身も、もう元の時代へは帰れませんよ」

そうだった。
俺は、もう…。

額のバンダナに手を当てる。
憎しみや怒り、そして悲しみとともに蘇る記憶。
仲間の死。
惑星ベジータの崩壊。
二度と戻ってはこない。
仲間と過ごした時間も、彼の生まれ育った故郷も。
何もかも、フリーザによって奪われてしまった。
遺されたのは、友の形見であるこのバンダナだけだ。
ふつふつと湧き上がってきた感情は、フリーザへの憎しみだった。

そうだ、俺はこんなとこで油を売ってる暇はない。
フリーザを殺さなければ。
仲間の仇を討たなければ。
ここから抜け出して、一刻も早くフリーザへの復讐を。
バーダックは顔を怒りに歪ませた。

だが、彼に突きつけられた現実は、あまりにも残酷だった。

「…戻れない、と言ったはずです。
一度定着した運命を無理に変えようとするなら、私は君を殺さなければならない。
それが、私の仕事ですからね。
フリーザへの復讐は諦めることです。どうあがいても、君にはできない」

銀髪の神は、目を細める。
バーダックは自分に刺さる視線に、嘘偽りがないことを悟っていた。
彼の内心は、その事実を認めなかった。

「ここから出せ」
「駄目です」
「やることが出来たんだ。力づくでも出してもらうぜっ!」

彼は神に殴りかかった。
しかし、たかが戦闘力10000の男が、人を超越した存在の神にかなう道理などあるはずもなかった。
渾身のラッシュはあっさりと捌かれ、一瞬で後ろを取られたサイヤ人の最下級戦士は、強烈な手刀をくらい、意識を失った。

「やれやれ…少し、手を加えねばなりませんね」
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