TEXT/ドラゴンボール

□第3話
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トキトキ都に、一人の英雄がいた。
彼は世界の歴史を救った。
彼は宇宙を救った。

彼は今、時の界王神に叱られていた。

「もぉ〜!エースくん!あなた、またこんなにパラレルクエストを溜め込んで!」
「す、すみません、時の界王神様…」
「まだ大きな歪みになってなかったから良かったものの、塵も積もれば山となる、よ。
いくら小さな歪みだからって、大きくならないとは限らないの」
「はい…」
「パラレルクエストを消化するまで、当分は修行禁止ね!」
「えぇ〜!そんなぁ〜!それはないですよ、界王神様ー!」
「だぁーめ!早く修行を再開したいなら、こんなところで油売ってないで、さっさと受付に行ってくる!」
「りょ、了解でーすっ!」

バシッと時の界王神に背中を叩かれ、慌ててパラレルクエストの受付に行くエース。
その滑稽な姿は、到底魔神ドミグラを倒したとは思えないものだ。
しかし、走る彼を見るタイムパトロール隊員の視線は、彼への尊敬を含んでいる。
間違いなく、彼こそは救世主なのだ。

彼は、受付に行く道中、あるものの前で足を止めた。
見上げると、巨大なホログラムで投影された自分の姿がある。
小っ恥ずかしくなり、彼は顔をほんのり赤く染めながら再び走り始めた。

(ああいうのって、ホント恥ずかしいんだよな〜…。
みんなからは冷やかされるし、新人の俺を見る目は無駄にキラキラしてるし…)

彼がホログラムについて思っていることを口にすることはなかった。
始めて投影した時の時の界王神の喜びようからして、あれを消してもらうことは、まず出来ないだろうからだ。
彼がため息を漏らしたことは、誰も気づいていなかった。

「それよりも、クエストクエスト…」

物事を二ついっぺんにやることが出来ない。
それは、本人も自覚しているエースの欠点であった。
今まで、トワとミラ、そしてドミグラと闘いに明け暮れていた彼は、パラレルクエストになど見向きもしなかった。
歴史の修正を行うたびに増えていく、小さな歴史の歪み。
ドミグラを倒した頃には、文字どおり数え切れないほどのクエストが溜まっていた。
その多さはというと、トランクスが絶句するほどである。
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