TEXT/ドラゴンボール

□第2話
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見知らぬ場所に、バーダックは立っていた。
瞬く星々は、彼の頭上にはなく、足元にあった。
空を仰げば、ただ広がる闇に吸い込まれそうになる。
彼は慌てて視線を戻した。
改めてぐるりと回りを見渡すと、彼は透明な球体の中にいることに気づいた。
そして、彼の正面には、してやったり顔の銀髪の男がいた。

「ここは、宇宙の全てを見ることができる展望台です」

男はさらりと、とんでもないことを言い放った。
あまりにも自然に言うので、バーダックは男の話に耳を傾けることしかできなかった。

「この展望台は、全ての時空において、限られた者しか入ることの許されない場所です。
一般人では到底たどり着くはできませんよ。なんせ、宇宙の外にあるのですから」

また男は、しれっと言いのけた。
少し落ち着き取り戻していたバーダックは思わず声をあげた。

「待て、宇宙の外だと?冗談じゃない。そんな嘘に騙されるとでも思ってんのか」
「嘘ではありませんよ。私は神ですから。神は嘘をつきません」
「てめぇが神だと言ってる時点で嘘くせぇんだよ」
「まあ、宇宙に生きる生命体が神に出会うことなんて普通ありえませんからね。
無理もないです。しかし、事実、君は神が住む世界に立っている。
君も薄々感づいているとは思いますが、目を閉じて、私の姿を捉えることができないでしょう?」

言われるがまま、バーダックは人に流れるエネルギーを探る。
しかし、いくら感覚を研ぎすまそうとも、目の前にいるはずの彼のエネルギーは感じられなかった。
まるで死人のようだと、バーダックは思った。

事実はすこし違う。
神の気は澄んでいるために、普通の生命体は彼らを察知することができない。
それは、孫悟空も認識できなかったほどだ。

だが、この事実を持ってしても、バーダックは銀髪の男を神と信じられなかった。

夢でも見てるんじゃないか。
俺はチルドとの闘いのせいで疲れ、プラントのどこかで倒れて眠っているんじゃないのか。

そんなバーダックを見透かしたように、男は彼の頬をつねった。

「いててててっ!いきなり何しやがる!」
「いえ、君がこれを夢だと疑っている頃だと思って。
でも、これで分かったでしょう?私が神であると」
「具体的に、何のカミサマなんだ。お前は」

待ってましたとばかりに、男は満面の笑みを浮かべた。

「運命を司る神、運命の界王神。それが私です」
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