TEXT/ドラゴンボール

□第1話
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一口に歴史とは、勝者の記録である。
勝てば官軍負ければ賊軍。
賊軍でも、勝てるなら官軍になれる。

また一口に歴史とは、運命の記録である。
もしもあの時、あの蝶が羽ばたかなければ、あの竜巻はあの町を襲わなかったかもしれない。
些細な運命でさえ、重大な出来事に繋がっていると考えると、宇宙の運命は、細い糸で紡がれた織物のように思える。

この世界には、その大きな織物を眺め、守護する神がいた。
彼らに名前など無い。
神になった時に、彼らは生物であることをやめ、生物としての名を捨てた。
もはや、彼らを知る者は宇宙に存在しない。
運命を見守る神は、運命の歯車であってはならないからだ。
故に、彼らは歴史の流れから外れ、宇宙の外から運命を眺めている。
彼らの存在を認知できる僅かな神々は、彼らを総じてこう呼ぶ。


「運命の界王神」と。


それ以外に形容しようがなかった。
彼らに与えられた役割は、運命の監視と守護である。
誰かが大量虐殺をしても、星が一つ滅んでも、運命がその通りに回っているのなら、彼らの出番はない。
しかし、少しでも綻びを見つけた時、彼らは秘められた力を解放して運命に干渉し、これを修正する。
いわば、彼らは宇宙の免疫であった。
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