I beg you

□番外編@ー同盟
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あの日から数日経った、ある日の朝であった。


シャーロックがソファに座り、何やら熱心に新聞を吟味している。


「シャーロック、何か興味ある事件でも?」


ユイが問い掛けると、シャーロックは新聞から目を離さずに短く「ああ」と答えた。


「どんな内容?」

「それより君、未だに兄と子供を作らないのか?」


新聞を畳み、シャーロックは彼女の方を見ようとせずに、逆に疑問を投げ掛けてくる。


「それ、今関係ないでしょ」

「大有りだ。これに答えたら、君の質問に答える」


ようやくシャーロックがソファから立ち上がり、ユイに向き合う。


悪戯な笑みを浮かべ、答えを待つシャーロック。


この変態め……と、心で罵倒しつつ彼女はウンザリしながら答える。


「別に今のところ、そんな予定は無いわ」

「つまるところあれか、兄と情事の最中、僕の名前を間違って呼ぶからとか?」


んな、と彼女は驚愕する。


幾らなんでもシャーロックが好きだったからと言って、彼の兄であるマイクロフトと重ねる事は。


ないと言い切れずに、彼女は言葉を紡げなくなる。


「……」

「反論無し、という事は、その可能性があるのか。
兄にそう告げた時、どんな反応をしていたんだ?」

「何で知ってーーあっ」


言ってからユイは、しまったと思わず口を噤む。


シャーロックは悪戯が成功した子供の様な笑みで、ユイを見つめていた。


取り繕う様に咳をひとつし、「だったら何なのよ」と言いながら軽く睨む。


「別に。ただ鎌を掛けてみたのは、成功したみたいだな」


それ、とシャーロックは、彼女に先程見ていたであろう新聞を差し出す。


反論したいのは山々であったが、シャーロックの事だ。


また厄介な話をされても困るので、ユイは素直に新聞を吟味した。
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