自由の翼(死の秘宝

□みちしるべF
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「やはり、ここにいたか」
「スネイプさん、これはどういう事か説明して下さい!」
夢子を説得出来るのは、スネイプだけだ。
そもそも、夢子をスネイプに今更ながら託したのは、もう充分長いことアズカバンに入っていたので反省したと判断して、彼に託したのだ。
前に夢子と面会した時、反省の色は見えていたし、理解も示していたし。
「あやつは最初は、我輩に引き取られている事に喜んでいたのだ。
しかし我輩は」
「無視して冷たくあしらっていたのかね?」
カレン同様に黙って夢子とクリスタを見ていた綺礼が、侮蔑を込めて言った。
見知らぬ男にスネイプは睨み付ける。
「貴様、何者だ?」
「彼は言峰綺礼です。
教会の神父を務めている人で、私と手を組みたいと」
状況が状況なので詳しい説明を省き、ユイはスネイプに言う。
スネイプは、教会? 神父? と首を傾げていた。
ホグワーツでは、教会や神父に縁が無いので知らないので無理はないと思うが。
「とにかく説明は後にしますから。
クリスタをまず……」
「それよりこの男とあの女の関係は何なのだ?」
綺礼が当たり前のことを口にした。
うう、説明の暇なんて……。
「彼と夢子は、その……何て言うか複雑なんです。
夢子の方がスネイプを好きなんですけど、彼にはその気がなくて。
それと」
ユイはこれまで夢子とスネイプの行動を、簡単にではあるが話した。
勿論、彼女達の性格についてもだ。
あらましを聞いた綺礼は、うんざりした様に言い放つ。
「つまり君の話を総合するに、そこのスネイプと言う男の性格も災いしている、と言う事か」
「そこまで言ってませんよ」
「いやあるだろ。スネイプが早めに想いを受け止めていれば、ここまで悪化する事はなかったはずだ」
会ったばかりの綺礼に確信を突かれ、スネイプは何も言えず仕舞い。
ただ項垂れるばかりだった。
「その罪の償いを、あの少女を救出した後でやるんだ。
私は神父なのでね、償いのチャンスは与えている」
綺礼はそう言いながら、夢子とクリスタに足を進める。
スネイプが微かに、貴様に何が分かると言う呟きは、彼には届いていなかった。
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