アズカバンの囚人

□第9話
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学校中、シリウス・ブラックはどうやって侵入したか話題で持ちきりだった。
「きっと木かなんかに化けたんだよ」
「ホグワーツの誰かに化けた、とか」
色々な噂に尾ひれが付いたのを聞いて、ユイはこの学校内の何処か(叫びの屋敷だと思うが)にいるであろうシリウスが怒るのではないかと思った。


クィディッチの試合前日、天候は雨だった。
それも嵐の様な。
ユイはハリーと共に闇の魔術に対する防衛術の教室に向かっていた。
途中で、ハリーがオリバーに捕まって明日の試合の事の報告がありそれを一緒に聞いていたら遅れたのだ。
「別に君は先に行っても良かったのに……」
「一緒に来たんだからいいの。
ハリーだけ遅れるなんて不公平だもの」
2人は、10分遅れで教室に辿り着いた。
「遅くなって申し訳ありません。
ルーピン……」
「遅刻だぞ、ポッター。
後……ヤマブキもかね」
ハリーに続いて教室に入って来たユイを見て、スネイプがため息を吐いた。
「ルーピン先生は?」
「今日は、気分が悪く教えられない状態だ。命に別状はない。
座りたまえ」
ハリーは納得いかないという表情をしていたが、ユイが座らないと減点されるわと小声で言うと、ようやく席まで歩いた。
2人が席に座ったのを見て、スネイプが言った。
「ポッター達が遅れて話は途中だったが、ルーピン先生はこれまでどのような内容を教えたのか−−」
「先生、これまでやったのは、ボガート、レッドキャップ、カッパ、グリンデローです」
ハーマイオニーが一気に答えたが、スネイプに無視された。
「今日我々が学ぶのは、人狼について、である」
スネイプは言いながら394ページを開けと言った。
「でも、先生。まだ狼人間までやる予定はありません。
これからやる予定は−−」
「人狼と真の狼とをどうやって見分けるか、分かる者はいるかね?」
ハーマイオニーの言葉を再び無視して、スネイプは言った。
いや、相手くらいしてやりなよハーマイオニー涙目になってるよ……。
誰が見ても分かるくらいにハーマイオニーは、無視された事で涙目になっていた。
「分かる者はいないのかね?
なんと嘆かわしい−−」
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