それは4月に雪が降るかの如く
□彼について
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「ほら、ここが新しい部屋よ」
「ありがとうございます」
通されたのは、これから暮らす事になる部屋だった。
人1人が暮らせる程の、申し分ない広さだった。
「にしても、家具とか置いたままで良かったわ。
こんなに可愛らしい女の子が来るだなんて!」
「可愛らしいだなんて……」
ハドソンは、ユイをまるで孫であるかの様に接してくれていた。
前の家では……。
前の家を思い出して、暗くなっていたのだろう、ハドソンが気を利かせて大丈夫? と声を掛けてくれた。
「大丈夫です」
「そう? なんだか顔色が悪いけど」
「本当に大丈夫です。それより、あの、シャーロックに迷惑を掛けてしまって……」
迷惑? とハドソンが聞いた。
はいと、ユイは頷く。