それは4月に雪が降るかの如く
□新しい生活
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「ジャ、ジャニーン? 何でここに?」
「だって可愛い女の子拾ったんでしょ?
あ、もしかしてこの子?」
ジャニーンと呼ばれた女性は、シャーロックの質問に答えずにユイに目を移した。
「ああ、そうだ。彼女は……」
「可愛い!!」
シャーロックが言い終わる前に、ジャニーンはユイに抱きついた。
ユイは、勢いで椅子から倒れそうになりながらもなんとか態勢を立て直してジャニーンを引き剥がそうともがいた。
「ちょっ!?」
「照れなくてもいいのに! しかも貴女、東洋人じゃない!
生で東洋の人見るの初めてだから、超嬉しい!!」
なんだか日本の東京で、生の芸能人を見てはしゃぐ女子高生みたいなジャニーンに戸惑っていると、シャーロックが無理矢理彼女の肩を掴んで引き剥がした。
「痛いじゃないシャーロック!
女性には優しく……」
「彼女が戸惑ってるだろ! というか何で僕が彼女を拾ったって知ってる!?」
ジャニーンは、だってっと言いながら自分の髪の枝先を弄りながら言った。
「マグヌセンは、ヤードで何人か……こう言っちゃなんだけど弱みを握っている人はいるのよ?
その人達から聞いたんでしょきっと。
それが秘書である私に伝わったってだけよ」