それは4月に雪が降るかの如く
□プロローグ
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私、山吹 由依はいつも母の顔色を伺いながら生きて来た。
ちょっとでも何かをヘマすると、大体自分のせいにされるのだ。
母に、理不尽に怒られる度に由依は何度もごめんなさいと頭を下げる。
親戚などに相談しても、虫の居所が悪かっただけでしょなどでもたまには優しい時もあるでしょなどと言った、決まり文句が返って来るだけであった。
だから、由依は母に理不尽に怒られても耐えた。
言い訳をすれば、ますます自分が不利な立場になる、そう分かっていたからだ。
そんな私を支えてくれたのは、友達やましてや知り合いでもない。
そう、“彼”だけだった。
彼の書くブログを見るだけで由依は元気付けられ、生きる活力を漲らせていた。
いつか“彼”に会ってそのお礼を言いたい。
だが、それは突然、まるで4月に雪が降るかの様にその出来事は舞い降りた−−。