自由の翼(死の秘宝

□青年
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「貴女がユイさんですね?」
「はい、そうです」
ユイはあの後、メリーにあの青年が回復するまで移住地を与えられた。
話は既に通っているらしく、ユイが訪ねると、心地よく引き受けてくれた。
「僕の名前はオニャンコポンと言います。よろしくお願いします」
「オニャ……。えっ、それ本名ですか?」
「そうです、本名ですよ。母がイギリス人で、父親がアフリカ人なんです。
父は変わった名前を付けるのが趣味でして……」
オニャンコポンと名乗った青年は、そう答えた。
てっきり本名がイヤだから、違う名前を言っているのかと思っていたがそうではないらしい。
「中へどうぞ。部屋へ案内します」
「あ、はい」
オニャンコポンに促されて、ユイは中へと入って行った。


「ああ、落ち着く……」
青年に案内された部屋は、ベッドがあり後は必要最低限のものが置いてあるだけだった。
青年の話によると、ここでは魔法を使う者があまりいないらしい。
いざ誰かが襲撃に来たら、魔法に対して自信のあるオニャンコポンが対処するらしい。
ユイはあまり魔法の関係無い場所で、ゆっくり出来ることに落ち着きを感じていた。
大体魔法関連のある場所で過ごしていたから……。
ユイはベッドの側にある窓から夕陽が昇るのを見ながら、オニャンコポンに夕食に呼ばれるまでのんびりと過ごした。
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