自由の翼(死の秘宝

□故郷に
1ページ/3ページ

「目が覚めたか、ユイ?」
「……うん」
ユイが目を覚ましたのは、アルバートが彼女を医務室に運んで1時間してだった。
目を覚ましたの彼女に声を掛けたのは、パトリックだ。
「アルバートから聞いたんだが、勝負には勝ったらしいな」
「そう、みたいね……」
「自我を失いかけたみたいだが」
パトリックからユイは一定時間、硬質化が出来る能力を得ていた。
だがいくら魔力が高く、ドラゴンを使役出来ていたとしても、生身の人間がその能力を使えば自我を失う。
ユイが夢子を殺そうとしたのは、それが原因だった。
「まぁ、あいつに勝てたみたいでいいじゃないか」
「勝てたんですかね? 実質的に見て、この世界の呪文しか使っていない、夢子の勝ちなんじゃないでしょうか」
「神であるアルバートが宣言したなら、勝ちって事でいいじゃないか」
ユイはどこか腑に落ちない様子で、そうですよねと呟く。
しばらくの沈黙が漂う。
パトリックはこの沈黙が苦手で、何を言ったらいいか思考していた。
と、今まで彼女に言っていなかった事を、彼は思い出した。
「ユイ」
「はい」
「これから、俺の故郷に行ってみないか?」
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ