自由の翼(死の秘宝

□行く末
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夢子がトドメを刺そうと杖を掲げたその時、ユイはパチリと目を覚ました。
夢子は杖を掲げたまま、「はっ?」と瞬きをする。
彼女は明らかにさっきまで深手を負い倒れていた。
立つ事や目を覚ますことは不可能なはず……。
そんな彼女が、ゆらりと立ち上がって夢子を睨み付ける。
途端、ユイの身体から何かが剥がれ落ち、地面に落ちた。
それは水晶の塊だった。
その水晶にはあちこち傷が付いている。
ユイが夢子から先程まで受けていた攻撃を、彼女に纏まり付いていた水晶が変わりに受けたのだ。
水晶に付いている傷は、その証拠だった。
水晶は地面に落ち、たちまち消えた。
夢子は杖を下ろして、呆然と彼女を見る。
そして驚愕に目を見開く。
何故なら彼女に、傷がひとつも付いていなかったからだ。
「ど、どうして? だってさっきまであんた意識も失くて、反撃すら……」
「馬鹿なあんたの為に説明するとね」
ユイは静かに、僅かに怒りを込めて説明をする。
「これはあんたの動向を探る為に立てた作戦よ。
身体に水晶を覆って技を受けて、本当の身の危険を感じたら、覆っていた水晶を剥がして反撃する、っていうね。
あんたが抵抗力の無い私に、全ての技を出し切ってくれたおかげで、動向を探ることが出来たわ」
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