自由の翼(死の秘宝

□青年
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オニャンコポンと夕食を摂っていると、ドアをノックする音が聞こえた。
オニャンコポンは「ちょっと待ってて」と言いながら席を立ち、玄関へと向かった。
やがてオニャンコポンは、背後に1人の青年を従えて戻って来た。
その青年は……。
「あっ」
「さっきメリーが来てね。君が傷を治した青年が、回復して目を覚ましたから連れて来たんだって。
この子が君を治した人だよ」
オニャンコポンがそう言うと、青年がおずおずと顔を出した。
背は恐らく190くらいだろうか。かなり背の高い青年だ。
「君の名前は?」
「あ、えっと……。ベルトルト・フーバーです」
ユイが問い掛けると、ベルトルトと名乗った青年は恥ずかしそうに言った。
「ベルトルトか……。どうだろう、ベルトルト。
一緒に夕食を共にしないか?」
「い、いえ、そんなお構いなく……。僕はお腹が空いてな……」
ベルトルトがそう言いかけたところで、彼のお腹から「グゥー」と可愛らしい音が鳴った。
ベルトルトは、ハッとした表情で自分のお腹を抑えた。
恥ずかしそうに俯くベルトルトが可笑しくて、ついオニャンコポンとユイは声を揃えて笑う。
「ハハッ……。ほらお腹が空いてるじゃないか。
一緒に食べよう」
ベルトルトは小さくコクリと頷いた。


一緒に食事を共にし、話をするに連れてベルトルトは心を開いていった。
「マルフォイ邸にいた?」
「そうなんだ。僕は孤児院にいて、5年くらい前かな?
ルシウス、って人が僕を引き取りに来て……」
それくらいの年は確か、秘密の部屋の事件が解決された時だ。
ルシウスはハリーによって、ドビーを契約解除にされた。
その後にドビーの代わりを探したのだろう。
その代わりとなったのが……。
「散々僕はマグルという、訳の分からない理由で、魔法といったもので傷付けられた。
で今年になって、僕を逃してくれた人が出て来たんだ」
「それって?」
「確か、スティーブンって名乗ってた」
ユイは「あっ……」と思わず呟いた。
それを目敏くオニャンコポンが聞き付けた。
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