誰ガ為ノ世界(謎のプリンス)

□あとわずか
3ページ/4ページ

ユイはストレンジが立ち去って行った方を、ただ見ている事しか出来なかった。
さっきの言葉に、ユイは傷付きもしなかった。
寧ろ、あれが彼の本音だったのかも知れないと納得していた。
私が彼の為に出来る事って何だろう、と考えているとクスリと笑う声が聞こえた。
振り返ると夢子だった。
「あんたさっきあの人と、凄い言い合ってたわね」
「それがどうかした?」
「あんなハリー・ポッターで出なかったオリキャラなんて、無視したらいいじゃない。
オリキャラなんだから、最後まで生き残らないわよ、きっと」
「ねぇ何で貴女、そんなにストレンジ先生の事嫌ってるの?」
夢子は「はぁ……」とわざとらしくため息を吐いた。
「だってあの人、わざとスネイプ先生の任務横取りしてるみたいじゃない。
スネイプ先生が影ながらハリーを守って、そしてヴォルデモートに殺されるっていうのを期待してたのに……」
「それって、スネイプ先生が死んでもいいって事?」
「違うわよ! 二重スパイに葛藤して苦しんでる先生を、私が1人じゃないって介抱して、殺される直前になってスネイプ先生大好きな私が助けて、彼に振り向いてもらう事が出来ないじゃない!
なのにあのオリキャラが全部引き受けたから、スネイプ先生が死ぬのを阻止する事が必要無くなったじゃない!」
つまり、ハリー・ポッターの夢小説でよくある最後の展開で、スネイプ先生を助けて振り向いて貰いたいっていう自己満足な理由か。
「貴女、自分の勝手な理由で好きな人を巻き込んでいいの?」
「もうスネイプ先生が死ぬ未来は無いからいいじゃない。
それに好きな人に振り向いてもらえないあんたに説教されても、無意味な訳だし」
「私は別にストレンジ先生の事が好きな訳じゃ!」
夢子とそう言い合っていると、何をしてると声が割り込んで来た。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ