誰ガ為ノ世界(謎のプリンス)

□あとわずか
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「ガビは貴方が裏切った事が信じられない、って仰っていました」
「そうなるだろうな」
「私、リヴァイさんから貴方の事について聞きました」
それを聞いてストレンジは身を硬くする。
2人の間を一陣の暖かく、生温い風が吹き抜けて行く。
「貴方はスネイプ先生の代わりに死喰い人のスパイをしているって。そして、周りから可愛そうだというレッテルを貼られたくないから、内緒にしていたという事も」
「それがどうした」
「誰かに相談すれば、先生はヴォルデモート側に付く事なんて……」
ユイの言葉に、ストレンジは自嘲めいた笑いをあげる。
「俺にそんな奴はいない。それに俺はこの任務を望んで引き受けた。
ヴォルデモートに命令されれば、人を殺すくらい容易い程成り下がったんだよ。
実際、許しを請う奴を何人もヴォルデモートの前で殺した。
お前の事だって」
ストレンジはそこでユイの肩を、ガッと力強く掴んだ。
あまりの痛さに顔をしかめる彼女に構わず、ストレンジは威圧する様に言った。
「お前の事だって、ヴォルデモートに命令されれば殺すのだって躊躇わない。
分かったか? 俺はこんな人間なんだよ。
同情する余地なんて、これっぽっちもない程にな!」
ストレンジは肩を乱暴に離すと、彼女を振り返りもしないでそのまま歩き去った。
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