秘密の部屋

□第8話
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「ノリス」
ユイが名前を呼ぶと、ミセス・ノリスはミギャッと鳴いた。
だが、すぐにユイを見るなり尻尾を振りながらこちらに近寄って来た。
あの森で、フィレンツェに魔力が高いと言われた事が関係しているのかミセス・ノリスは、ユイに関して全く警戒を示さなかった。
フィルチの猫だから、案外この子は普通の猫ではないのかもしれない。
いや、魔法使いの猫って皆んなこんな感じなのか?
ユイは、あのバジリスクが来ていないか辺りを警戒しながらミセス・ノリスを抱き上げた。
ミセス・ノリスは、ゴロゴロと喉を鳴らしながら胸元に擦り寄ってくる。
廊下に溜まっている水も見てみたが、バジリスクの姿はまだなかった。
確か、ハリーが再び声を聞くのは絶命日パーティが終わった後だったからまだ姿は現さないのかもしれない。
ユイは、ホッと息を吐きながらその場を後にした。
背後から、日記に操られている、ジニーがいる事も気付かずに……。


大広間前までユイは来ていた。
フィルチは、恐らく大広間で開催されているハロウィーンパーティにいるかもと踏んだからだ。
だが、大広間前に厄介な人物がいた。
フレッドとジョージである。
こちらに気付くとこれ見よがしに近づいて来た。
「おや、君の腕にいらっしゃるのはフィルチの猫じゃないかい?」
「これはこれは、驚きだよなフレッド。
この子は、頭がおかしいだけでなく、ミセス・ノリスを手なづけるおかしな能力まであるらしい」
2人は、ニヤニヤと笑いながらユイの腕の中にいるミセス・ノリスを見ていた。
一方のミセス・ノリスは、双子に悪戯された事があるのか警戒する様に2人を見ていた。
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