賢者の石

□変身術
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「どうしたんですか? そんなにいきなり叫んで……」
「なんでもありません、なんでも……。
ただ、ちょっと、うつらうつらして寝言言っちゃっただけですから」
マクゴナガル先生は、疑うような表情を見せたがやがて何事もなかったかのように授業を再開した。
周りからひそひそと「頭おかしいんじゃないか?」とか「何あいつ?」みたいな囁き声が聞こえた。
隣の夢子も、前に座っている友達と思しきスリザリン生とユイを見てクスクスと笑っている。
どうやら自分は、夢子に相当嫌われてるらしい。
まぁ、自分も夢子は嫌いなのでおあいこではあるが……。
ユイも何事もなかったかのように、マクゴナガル先生の話に集中した。


授業の内容は、マッチ棒を針に変えるというものだった。
出来たのは、ハーマイオニーだけだったが……。
「ヤマブキ、それは?」
ユイの机近くに来たマクゴナガル先生にそう問われた。
何って言われても……。
「鍵です」
「何の?」
「分かりません。針に変えるはずが、勝手に鍵になりました」
マクゴナガル先生が口元を引き締めている。
あかん、怒られるこれ。
隣の夢子もそれを想定しているのか、ニヤニヤしている。
というか、マッチ棒のままのあんたに笑われるような筋合いはない。
だが、マクゴナガル先生の反応はユイですら想定していないようなものだった。
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