賢者の石
□ダイアゴン横丁
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オリバンダーの店で最初に夢子が杖を選ぶことになった。
「では、まずこちらを。
桜の木に不死鳥の尾羽を使った杖だよ」
夢子が嬉々として杖を取ると、杖の先から桜の花弁が舞った。
「どうやら確定したようですな」
次は、ユイの出番だ。
「では、桜の木にサンダーバードの尾羽を使った杖」
「オリバンダーさん、ひとつ聞いて良いですか?」
「ん?」
「だいたい東洋、主に日本人って……」
どうやらオリバンダーにユイの言いたいことは伝わったらしい。
オリバンダーは、ああと頷いた。
「日本人の人は、桜の木を使用した杖を使う人が多いということを言いたいのですね。
だいたい日本の人は、桜の木を使用した杖と相性が良いのじゃよ」
「だから、ですか。
ありがとうございます」
オリバンダーは、さてと呟いた後にユイに杖を渡しながら言った。
「このサンダーバードの尾羽は、とても貴重な物じゃ。
あの、魔法生物専門、ニュート・スキャマンダーから譲り受けたと聞いておる。
これを使用した杖は、2本しかなくての」
「既にその1本は、決まったんですか?」
オリバンダーは、意味有りげにストレンジを見た。
「お久しぶりじゃの、スティーブン。
スティーブン、君の杖は確か……」
「樅の木に、サンダーバードの尾羽だ」
「そうじゃそうじゃ。
いやー、あの時は儂も驚いたの〜。
今まで誰にも扱えなかった杖が……」
いいから早く杖選びをしてくれというストレンジは、ぶっきらぼうに言った。