Reason

□擬似サーヴァント
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「な、何あの子……」


綺礼達と共に教会前に来たはいいもの、ユイは教会に来た来客を見て思わず呟く。


「何、とは失礼ね。私は聖杯に選ばれたマスターよ、マスター」


見た目はユイより下の年齢−−恐らく学生だ。


まだ学生の少女が、令呪の刻まれた右手をこれ見よがしに見せびらかしてかなり生意気に答えていた。


ユイが思わず呟いたのは、彼女の目の色だ。


まるで宝石が埋め込まれたかの様に、紫と青色の目をしていた。


それが蝶の羽の如く、キラキラと光っているのだ。


おまけに髪はオイルでも使用しているのかと言うくらいに、濡れ羽色の様な黒髪を背中まで垂らしていた。


少女が纏っている制服は、あの士郎や桜と同じ物ではない。


この少女があの子達と同じ学校でない事に、少なからずユイは安堵していた。


「ねぇ、綺礼さん。あの子誰?」

「名前くらいは知っているがね。
道宮薫、今年令呪を宿すかも知れないと私は思っていたが……まさか宿して8人目のマスターとなるとは」


綺礼はどこか薫を毛嫌いする様に見ていた。


薫と何かあったのだろうか?


問い掛け様としたところで、薫が不満な声を漏らす。


「ねぇ、私を前に何ヒソヒソ話してんの?
折角私自らがこうして赴いてあげたんだから、貴方達もサーヴァントを出して私と闘いましょうよ」


薫はまるで今から遊びましょうという事と同じくらい、軽い口調で言葉を紡ぐ。


聖杯戦争は遊びだと言わんばかりの口調だ。


おまけに人を越える存在を玩具の様に出せと……。


これにはユイは我慢ならなかった。
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